AIが注目を集めだした当初、AIは人間を単純作業から解放するが、クリエイティブな分野は代替できないという言説があった。ところが日々進化する生成AIは、いまや、文学や音楽、イラスト、マンガ、そして映画と、あらゆるクリエイティブの制作現場で利用され始め、そしてかなりの水準の作品を生み出しつつある。それに伴って大きな影響を受け始めているのが、各種の公募による賞やコンテストだ。これまでは人間の創造力を競い合ってきたが、生成AIが介在して生まれた作品があふれ出したとき、賞やコンテストはどうなるのか?2回目は、小説をめぐる現状についてお伝えする。
高額賞金の公募賞が「生成AI」対応を新たに記載
小説の公募賞で国内トップクラスの賞金を誇っているのが、宝島社の『このミステリーがすごい!』大賞だ。大賞賞金は1200万円、文庫グランプリ賞金は200万円で、どちらも受賞作品は書籍が刊行される。
今年6月から、ホームページに第26回の募集要項が掲載されている。冒頭には「第26回の募集要項より、AIの使用等についての規定を追加しました」とある。前回までの募集にはなかった、AIに関する対応が盛り込まれたのだ。
原稿の規定を確認すると、「生成AIを補助的に利用した場合、どのように用いたかを書類末尾に簡潔に記載してください」とあり、補助的な利用は認めていることがわかる。
その上で、注意事項欄には「AI生成による文章を用いた原稿の応募は不可とします。使用に伴い、第三者の権利を侵害するおそれがあると事務局が判断した場合、選考対象外・失格とする可能性があります」と記載されている。
「AIによる文章生成は不可」とした理由を宝島社に質問したところ、『このミステリーがすごい!』編集部は「著作権侵害・盗用のおそれがあるため」と回答した。
日本文学振興会が主催する『松本清張賞』も、正賞が時計、副賞が500万円と賞金が高額だ。受賞作は文藝春秋から単行本が刊行される。『松本清張賞』も今年4月に発表した第34回の応募規定で、初めてAIについて言及している。
「創作の際、AIを利用した場合は、どのようにAIを用いたか(文章表現の手助け、校正、翻訳など)を応募原稿の表紙に分かるように記載してください。また利用に伴って、明らかに倫理や法令に反する、あるいは第三者の権利を侵害する恐れがあると判断された場合は、選考対象外や受賞取り消しとなる場合があります」
この記載について日本文学振興会の事務局は、「AIを使うことが悪いのではなくて、使うことによって盗作や剽窃による他者の作品の著作権侵害となってしまうといった部分が、一番問題だと思っています」と話している。














