幸せの鳥「トキ」に想いを重ねて

2026年5月、特別天然記念物のトキの放鳥が、石川県羽咋市で行われました。56年ぶりに能登の空に飛び立ったトキを見守る女性、畑中 季(はたなか とき)さん58歳です。

石川県輪島市出身の畑中さん、今は石川県金沢市で一人暮らし。震災後、「みなし仮設住宅」の形で生活しています。

震災当時、畑中さんは焼失した朝市通りで、鍼灸院を営み、自宅もそこにありました。

◇畑中季さん…「残っていたのはブロック塀、このブロック塀がなかったら、私もどうなったか分からなかった。みんなが、自分を知っている誰かが、傷ついて、亡くなっている」
震災当時、高校1年生だった長男が別の高校に転入したこともあり、畑中さんは金沢市に住むことになりました。
時に、心ない言葉もかけられたと言います。
◇畑中季さん…「震災で全焼したと言ったら、じゃあお金をもらえるんでしょう、いくらなのと言われて」

◇畑中季さん…「何が一番さみしかったかというと、塗物がなかった。生まれた時から輪島塗で生活していた。それがないという生活がストレスでした」
今は老人ホームで働く日々
畑中さんは今、週に4日、石川県金沢市の有料老人ホームで、パートとして働き、入所者のリハビリを担当しています。畑中さんは針、灸、マッサージの資格を持ちます。また、学生時代、陸上部だった経験もいかし、利用者のケアにあたっています。

◇入所者は…「病気や症状にあわせてプログラムを組んでくれるので、とても助かっています」

◇ケアホームゆとりの園西金沢・渡邉満園長…「とても利用者に対する接し方も柔らかくて良いですし、いろいろなアイデアも出していただいている」
◇畑中季さん…「金沢に私がいるということは、まだ避難中ということ。復興はまだしていない。輪島に帰ってから、私の復興が始まります」
月に2、3回、輪島に戻り…
畑中さんは月に2、3回、輪島に戻り、以前からの利用者の自宅で施術を行っています。

◇畑中季さん…「私は患者を診ている感じでしたが、患者は私を見ていたのですね。こういう人がいっぱいいるから、帰りたいという気持ちになる」
以前の自宅の向かいで「新しい暮らしを」
どんな時でも前を向く畑中さん。これまであった場所の向かい側に、新しく、自宅兼店舗を建てることにしました。
将来への希望と不安

◇畑中季さん…「来たはいいけど、借金を返していけるのか、食べていけるのか、子どもの仕送り、学費はどうしよう。老後の資金はどうしよう。常に不安はあります。とりあえず、自分ができることをひとつずつ、やっていくしかない。ひとつずつ、コツコツでも。必ず応援してくれる人はいる。くじけることも多分あるだろうけど、必ずその先にも道はあるよ」














