失ったものと焼け残ったもの

この火事で笹正宗は酒造りの施設、そして出荷を控えた日本酒およそ2万5000本を失いました。酒づくりが盛んな喜多方市。地元では、大きな衝撃が走りました。

喜多方の酒を扱う販売店・新谷正樹社長「店舗からすぐ見える場所だったので、すごい煙が上がっていて、はじめはまさかと思ったんですけど、現場に行って驚愕しました」

それは、笹正宗のファンも同じでした。

新谷社長「火事のニュースが流れて、ネットがパンクするぐらい問い合わせがあり、一件一件丁寧に説明しながら状況を伝えた」

笹正宗酒造は江戸時代に創業。208年の歴史がある老舗の酒蔵で、仕込み蔵や母屋など、8件が国の有形文化財に認定されていました。その蔵から生み出される酒は今は「優しい甘さ」が特徴で人気を集めていました。

その多くは火事で失いましたが、酒蔵の顔になっていた塀と門、そして酒蔵の守り神、お稲荷さまの社だけが残りました。社は小さなしめ縄がこげましたが、火事の災禍を潜り抜け、その歴史をつなぐようにその姿を残していました。

火事から半月が経ったこの日、焼け跡を訪ねると、出荷前の酒が保管されていた倉庫のあたりには瓶の破片、そして笹正宗のキャップが残っていました。

築き上げた歴史だけでなく、ここは生活の場でもありました。

岩田社長「いろんなものがなくなってしまったというのは率直な…。本当、言葉にできないという感じですね」