2年後に控える“実質7%の大増税” 財源「P」の現状とは?

仮に消費税減税が実現したとしても、現在の減税案には2つの大きな課題がある。

一つ目は「2年後に控える実質的な“大増税”」だ。

現在の中間とりまとめ案では、食料品の消費税を2027年4月に8%から1%に下げ、2年後に8%へ戻すとしている。高市総理も国会の予算委員会で「2年後には(税率を)元に戻す」と明言している。

食料品の消費税を2年後に1%から8%へ戻すとなると、その時点で実質7%分の“増税”が起きることになる。これに対し、与野党双方から経済への影響を懸念する声が上がっている。

自民党の河野太郎氏はSNSで、消費税を下げた諸外国の事例を引き合いに問題点を指摘した。

「これまで消費税を下げた諸外国の経験をみても、税率と同程度に物価が下がった例は少なく(中略)2年後に軽減税率を元に戻すときには確実に8%価格は上がるので、物価高対策で軽減税率を一度下げたことで、かえって物価が上がるということになる可能性が高く、これでは本末転倒です」

つまり、減税時には物価が消費税率を引き下げた分だけ下がる保証はないのに、増税時には機械的に7%分の価格上昇が起きるという相対するリスクがあるということだ。

島本記者によると、自民党のある関係者は「高市総理が2年後も総理をやっているか分からないので、そこまで考えていないのではないか」と本音を漏らしているという。

二つ目の課題は「財源が何も決まっていない」ことだ。

食料品の消費税を1%に減税し、下げきれない1%分を現金給付して実質ゼロにする現在の案では、2年間で約10兆円の財源が必要とされている。ところが、3月の初会合から合計16回を重ねた実務者会議では、財源についての議論がほとんどされてこなかった。

国民会議の中間とりまとめ案の資料で「財源」欄に記されていたのは「P」(=ペンディング・保留)の一文字。

国民会議の参加者は「国民会議は財源について議論する場ではない。あくまで制度設計を議論する場だ」と説明している。

政府は「赤字国債には頼らず、税外収入や補助金見直しで対応する」としているが、具体的にどこから10兆円を捻出するのかは「示されていない」と島本記者は指摘する。

6月26日の第17回実務者会議でようやく財源についての議論がなされたが、政府が示した財源案は「赤字国債には頼らない」「補助金や租税特別措置の見直しなどによって確保する」としたうえで、具体策は盛り込まれなかった。

与野党から批判が相次ぎ、まさに税制の要である自民・税調「インナー」から辞退者まで出る中で、4月減税は本当に実現するのか?島本記者はこう総括する。

「誰も止められないまま突き進んできて、今になって与党内も野党も反対の声がこれだけ出ている。現状では、野党の賛同を得られないまま秋の臨時国会を迎えて準備が始まるという形で突き進むのか、大幅修正して野党を抱き込みにいくのか、この二択しかない」

国民の暮らしに直結する消費税の大きな動きが、今まさに正念場を迎えている。