自民、立憲の幹部が相次いで「万博会場視察」へ

万博会場となる夢洲

こんな中、突如浮上したのが「万博会場の視察」だ。関係者によると、自民党の茂木幹事長が1月18日に万博会場となる大阪市・此花区の夢洲やアクセス道路となる阪神高速・淀川左岸線を視察する予定だ。視察では、大阪府の吉村洋文知事と大阪市の松井一郎市長が茂木氏を案内する念の入れようだ。また立憲民主党も1月20日に岡田幹事長や安住国対委員長が会場を視察する方向で調整が進められている。関係者は、自民と立憲幹部の相次ぐ視察で、「政治の万博への関与」を明確にして機運醸成を図りたいとしている。

立憲・安住淳国対委員長 1月12日国会内

立憲の安住国対委員長は1月12日の会見で「どういう予算、コンセプトでやるかを、万博そのものに対して我々別にネガティブじゃないので、一度はちょっと見させていただいた方がよかろうということ」と述べた。そのうえで「たまたま茂木さんも行くんですかね。日がちょっとずれちゃったんだけど、ずれてよかったよね。一緒に行っていたら大変なことになるから」と指摘するのを忘れなかった。

両党幹部の会場視察については大阪府市=行政が対応する形となるが、立憲としては維新の生命線である万博に配慮しながら、野党ペースで国会を進めたい思惑が見え隠れする。一方、立憲のベテラン議員は視察に疑義を呈した。「維新と共闘するなら国会の中だけにしてほしい。大阪までそれを持ちこまれても困る」春の統一地方選を控え、維新との接近は立憲の立ち位置を曇らせ、支持層の離反を招くと危惧しているのだ。「有権者からは理念や考え方が違う維新との接近について『何がしたいのかよくわからない』とおしかりを受けます。IRの問題もあるし」同様の批判の声は、大阪に加え兵庫や京都の議員からも出ているといい、視察がもたらした軋轢は決して小さくない。

一方の維新は「万博」というカードを使って、通常国会においても自民と立憲を相手に「キャスティングボート」を握りたいとの思惑も透けてみえる。開幕まで2年余りとなった万博と政治との距離感は、今の国会を映し出す「鏡」でもある。

毎日放送報道情報局 解説委員 三澤肇