決勝には史上初のハーフタイムショー 試合を「魅せる興行」に

試合が止まる時間を商品にする発想は、ハーフタイムにも及んでいます。今大会の決勝戦では、ワールドカップの歴史上はじめて、ハーフタイムショーが行われます。出演するのは、マドンナ、シャキーラ、それからBTS。これは、アメリカのアメフトの祭典、スーパーボウルでおなじみの演出です。

ただ、サッカーの現場からは、戸惑いの声も出ています。報道によると、ショーの設営と撤去まで含めると、ハーフタイムが25分から30分まで延びるかもしれない、というのです。そうなると、選手のコンディションや試合の流れにどう響くのか、中継する側も心配している、という話です。

それでもやるのは、サッカーの試合を、ただの試合ではなく、「魅せる興行」、エンターテインメントのショーに仕立てることで、サッカーファン以外の人まで呼び込めるからです。試合を、丸ごとひとつの興行として設計し直す。これも、アメリカらしい考え方なのです。

チケット、二次流通、接待まで 「ひとつの試合」が分解されて売られる

ここまで、試合が止まる時間の話をしてきましたが、視野を広げてみると、ワールドカップでは、ひとつの試合が、いたるところで細かく分解されて売られています。

まず、チケットです。今大会では、需要に応じて値段が動く「変動価格(バリアブルプライシング)」が、ワールドカップで初めて導入されました。航空券やホテルと同じ考え方です。なお、よく使われる「ダイナミックプライシング」という呼び方を、FIFA自身は使いません。値段が自動で変わるわけではない、として「変動価格」と説明しています。決勝戦のチケットは、いちばん高い正規の席で、最終的に約3万3000ドル、日本円にすると約500万円まで引き上げられました。前回のカタール大会の最高額が約1600ドルだったので、なんと約20倍です。

その二次流通市場も、商売に取り込まれています。FIFAはチケットの転売を禁止せず、自分たちで公式の二次流通サイトを用意して、取引のたびに、売った人と買った人の両方から、それぞれ15%の手数料を取ります。さらに、観戦に飲食や専用ラウンジを付けた高額な「ホスピタリティ」というパッケージもあり、いちばん高いものは約1100万円。これは、観戦が「個人の娯楽」から「企業の接待」へと変わってきていることの表れです。そして、この流れは日本にも来ていて、国立競技場には2026年4月、企業向けの最上級の観戦エリアができました。