その「試合が止まる時間」が、まるごとCM枠になる
その顔とは、広告です。試合が止まる3分間が、まるごとコマーシャルの枠に変わるのです。
仕組みを、もう少し細かく見てみましょう。報道によると、中継する放送局は、給水ブレイクが始まって20秒ほど経ったところでCMを流し始めて、試合が再開する30秒前までに画面を戻す、という流れになっているそうです。これで、1回あたり最大2分10秒ほどの、新しいCM枠が生まれます。給水ブレイクは、前半と後半に1回ずつ、1試合で2回。それが全104試合ですから、試合が止まる時間だけで、合計10時間分を超える。その止まった時間の多くが、まるごと広告に使える枠に変わっている計算になります。
しかも、その広告枠の値段がすごいのです。アメリカの報道によると、この時間に流す30秒のCMが、グループステージの序盤の試合でも約20万ドル、日本円で約3000万円。アメリカ代表が出る注目の試合になると、約75万ドル、1億円を超える、という単価だそうです。選手を守るという目的と、広告枠を増やすという狙いが、同じひとつの仕組みのなかに同居しているのです。
サッカーを、アメフトのような「クォーター型」に作り変える
では、なぜわざわざ、こんなふうに試合を止める時間をつくるのでしょうか。
考えてみると、サッカーには、もともとアメフトや野球のような「自然な中断」が、ほとんどありません。90分、流れるように試合が進みます。これは、観るぶんには魅力なのですが、広告を売りたい側からすると、CMを差し込むすきまがない、ということでもあります。
だからこそ、給水という名目で、計画的に試合を止める時間をつくって、そこを広告として売る。これは、見方を変えると、流れっぱなしだったサッカーの試合を、アメリカの人気スポーツのように、いくつもの「区切り」がある競技に作り変えている、とも言えます。たとえば、バスケットボールのNBAは、1試合を4つの「クォーター」に分けます。アメフトも、同じく4クォーター制。試合がこまめに止まって、その止まったところに、CMをどんどんはさんで稼ぐ。流れの止まらないサッカーを、その「クォーター型」のスポーツに、じわじわ近づけている、というわけです。これが、いかにもアメリカらしいやり方なのです。














