サッカーのワールドカップを観ていると、前後半それぞれの途中で、試合が3分ほど止まる場面があります。選手が水を飲む「給水タイム」です。解説をしていた元日本代表の本田圭佑さんが、中継のなかで「これ、なんすか?」と口にしたほど、目新しいものでした。目的の一つは、選手への配慮。けれど、その裏には、もうひとつの狙いが隠れています。この小さな"中断"に、スポーツビジネスの今が詰まっているのです。ひとつの試合が、どうやって細かく切り売りされているのか。その仕組みについて、リサーチャーのcomugiが解説します。

(TBS Podcast『コムギコ:資本主義をハックしろ!!』2026年6月20日配信『サッカーW杯こそ「資本主義」のショーケースである』より)

突然始まった、3分間の給水タイム

この給水タイム、正式には「ハイドレーションブレイク」と呼ばれます。前半と後半、それぞれ22分ごろに3分間、試合を止めて選手が水を飲む。これが、今大会の全104試合で、初めて義務づけられました。

目的の一つは、選手の体を守ることです。今大会は、開催国の一つがアメリカで、暑い時間帯の試合もあります。直接のきっかけになったのは、昨年アメリカで開かれたクラブワールドカップでした。このとき、厳しい暑さのなかで、選手やコーチ、ファンから不安の声が上がりました。その反省を受けて、今大会から暑さ対策として導入された、というわけです。なお、1994年のアメリカ大会も猛暑が問題になりましたが、今回の直接の引き金は、あくまで昨年のクラブワールドカップです。

実際、医学の専門家からは「3分では短くて、5、6分ほしい」という声も出ています。「選手のため」という面は、確かにあるのです。ところが、この3分間には、まったく別のもうひとつの顔があります。