弁護側の最終弁論 殺意の否認と偶発性の主張

弁護側の席(旭川地裁・8日)【この記事を画像で詳しく見る】

一方、弁護側は最終弁論において、内田被告に殺意はなく、殺人罪は成立しないこと、また衣服を全て脱がせたことと、転落死の間に因果関係はないため、不同意わいせつ致死罪も成立しないと主張し、不同意わいせつ罪と監禁罪の成立にとどまると訴えました。

弁護側は、事件が計画的なものではなく、偶然が積み重なった場当たり的なものであったと言及しました。女子高校生を旭川市に連れてきたのは、留萌市でガソリンが切れかかり、営業しているガソリンスタンドを求めて旭川に戻らざるを得なかったという「ガス欠」の恐れによるものであり、当初から連行する意図はなかったと説明しました。

さらに、橋の上での状況について、内田被告は女子高校生を殺害しておらず、実行行為もなかったと述べました。女子高校生がコンビニを出た後に「死にます」としか言わなくなったため、本当に死ぬ気があるのか確かめるために「死ね」と言ったに過ぎないと主張。最終的には個人情報の開示を拒む女子高校生との会話をやめ、道の駅で受け取った4000円と携帯電話を橋の床上に置いて、「私ら帰るから勝手に帰れば」と言い残して受刑者の女とともに足早に立ち去ったと説明しました。そのため、4000円と携帯電話を返還したことはその後の使用を促したものであり、殺意がなかったことの証左であると訴えました。

また、内田被告が背中を押して突き落としたとする共犯の受刑者の女(当時19)の証言については、「全く信用できない」と否定しました。受刑者の女には、自身が受刑生活に入っているのに対し、内田被告が裁判中であることをねたみ、「自分と同じかそれ以上の刑事責任になるよう、相手に不利な虚偽を述べる『引っ張り込みの危険』がある」と指摘。さらに、検察官と何度も打ち合わせを重ねた「教育された証人」であり、事実を誇張しているに過ぎないと主張しました。その根拠として、携帯電話のSIMカードが抜かれた時間(午前3時52分)とデータ削除の時間(午前3時53分)に関する客観的データが、受刑者の女の供述(タイヤでひいて壊した後に操作したという内容)と矛盾している点や、物理的な整合性を欠いている点を挙げました。

不同意わいせつ致死罪についても、「女子高校生を全裸にした行為によって亡くなったわけではなく、落下という死の結果の危険性をはらんでいたとはいえない」として、因果関係の不成立を主張しました。

最後に情状面として、内田被告には前科前歴がなく、2年間の身体拘束の間に事件と向き合い、謝罪の気持ちを綴ったノートは15冊を超えていると言及。母親や祖父母も面会を重ねて更生を見守っているとし、適切な時期に社会復帰できる道を残してほしいと裁判所に求めました。