JAXA=宇宙航空研究開発機構の研究グループによる医学研究で、データのねつ造や改ざんなど、不適切な行為があった問題。研究の責任者を務める古川聡宇宙飛行士が12日、会見を開き、自らが「戒告」の懲戒処分を受けたことを明らかにし、謝罪しました。古川飛行士は来年度中に2度目のISS=国際宇宙ステーションの搭乗を控えており、JAXAは「変更はない」としています。

■古川宇宙飛行士 懲戒処分 異例の謝罪会見「決められたスケジュールを守ろうと・・・」

JAXA 古川聡宇宙飛行士
「心より深くお詫び申し上げます」

研究データのねつ造や改ざんという不祥事で、現役の宇宙飛行士が謝罪する異例の会見。自らの処分についても触れました。

古川宇宙飛行士
「先日JAXAより戒告の人事処分を受けたことを報告します」

この問題はJAXA=宇宙航空研究開発機構で、医師でもある古川聡宇宙飛行士が責任者を務めた研究チームが2016年から2017年にかけて実施した研究で起きました。

茨城県つくば市のJAXAの施設にISS=国際宇宙ステーションを模した閉鎖環境を設置。被験者に14日間過ごしてもらい、血液や心理状態などのデータをとりましたが、その後のJAXAの調査で研究者2人がデータのねつ造や改ざんを行ったことが判明したのです。

研究は途中で中止されました。古川飛行士自身は、データのねつ造などには関与していないとのことですが、会見の中で“限られたスケジュールの中で研究が行われている”と弁解しました。

古川宇宙飛行士
「いかに研究を進めるかに必死になっておりました。例え苦しくても、その条件で何とかする、決められたスケジュールを何とか守ろうとする、それが研究実施責任者の仕事だと、当時の私は考えていた」

チームワークや共同作業が強く求められる宇宙飛行士。研究責任者と宇宙飛行士としての資質について記者から問われると・・・

古川宇宙飛行士
「共通する部分があると考えております。仲間を信頼するんですけども、念のために確認することの重要性を再認識しました」

古川飛行士は2023年度中、ISSに2回目の長期滞在をする予定ですが、JAXAは「今回の不正の責任と宇宙飛行士の資質は別」として、変更はないとの考えを示しています。

古川宇宙飛行士
「自分としては与えられた任務をしっかり着実に行うことで、信頼回復に努めていけたらと考えております」