「今更そんな苦労する気はない」制度設計にも課題
その背景にあるのは、皇族としての振る舞いや公務を担うことの重みだ。幼少期から帝王学をはじめとする特殊な教育を受けていない人間が、突然その役割を全うできるのか。久邇さんは「特別な教育を受けてもそこに自分を適応させて皇族として日本国民のために動くということは無理」と、その困難さを強調する。
事実上可能性は極めて低いが、仮に自身が養子の対象となった場合についても、「今81歳なんですよ。今更そんな苦労する気はないし、苦労しても生きるための苦労は今更したくない」と、戸惑いを隠さない。

この養子案は、そもそも制度として機能するのかという根本的な問いを突きつける。対象者とされる旧宮家の男系男子は約10人程度いると言われるが、宮内庁もその意向を把握しているわけではない。養子になる人の年齢や、親となる皇族の範囲についても「慎重に制度設計を行う」と記されるにとどまり、具体性を欠いたままだ。

さらに、この案にはより本質的な懸念もつきまとう。「旧宮家といっても一般国民」であり、その人たちを血筋だけを理由に特別扱いすることが、憲法14条が禁じる「門地による差別」にあたるのではないかという指摘だ。また、養子となった男性の子どもが女子であった場合、皇族の数は増えても、男系男子による皇位継承の安定にはつながらないという問題も残る。














