19年の観察が実を結んだ――EMF3遺伝子の特定
「早朝に開花するイネが作れれば、高温不稔を軽減できる」という理論は、Satake and Yoshida(1978)によってすでに提唱されていました。開花が終了した1時間後に高温に遭遇しても不稔はほとんど発生しないことから、開花時刻を早めることが有効な対策であることは理論上知られていたのです。
農研機構 中日本農業研究センターの石丸努上級研究員は、早朝開花イネの研究を始めてから19年間、毎年真夏の炎天下で開花を観察し続けてきました。「イネもせめて早朝に咲くことができれば、涼しくて快適だろうな」――そんな思いを胸に積み重ねた研究が、今回の発見につながったといいます。
研究グループはこれまでの研究から、イネの第3染色体上に早朝開花性に関与する遺伝子が存在する可能性を示唆する結果を得ていました。しかし、どの遺伝子がどのような仕組みで開花時刻を早めるのか、詳しいメカニズムは明らかになっていませんでした。そこで今回の研究では、開花時刻を決定する遺伝子の特定と、早朝開花を引き起こす塩基配列の変異の同定を目指しました。
研究グループが独自に育成した早朝開花イネと通常のイネの塩基配列を比較した結果、第3染色体上の遺伝子(Os03g0145400)が開花時刻に影響を及ぼしていることが判明しました。この遺伝子が「Early Morning Flowering 3(EMF3)」と命名されました。














