「地球沸騰化」がコメ生産に突きつける課題

2023年、国連のアントニオ・グテーレス事務総長は「地球沸騰化時代」という言葉で気候変動への深刻な懸念を表明しました。この言葉が象徴するように、近年の異常高温は世界各地の作物生産に実害をもたらしつつあります。

イネは世界の約半分の人口にとっての主食ですが、高温への感受性が最も高まる時期が存在します。それが「開花期」です。通常、イネは午前10時から12時の間に開花しますが、この時間帯に35℃以上の高温にさらされると、葯(やく)が裂開せず、花粉が放出されなくなります。

受粉が失敗すれば、コメは実らず「空籾(からもみ)」となる――これが「高温不稔」と呼ばれる現象です。

現時点では高温不稔による収量低下は深刻な問題に至っていませんが、温暖化がさらに進行すれば状況は一変します。開花時の高温不稔を軽減できるイネの開発は、今や世界的な急務となっています。