北朝鮮の冬の厳しさ

「北の冬は気温がマイナス30℃近くまで下がることがあり、ありとあらゆるものが氷の世界へと変わってしまうのです。大きな川も一面氷で覆われ、そこをバスが通るのです。バスが通過しても大丈夫なくらい、分厚い氷が張るのです」

講演を聞いていた子どもたちからは、その“氷上バス”に乗ってみたいという声も上がりましたが、曽我さんは話を続けました。

「バスで走っていて氷が急に割れてしまったりすると、バスは沈んでしまいます。中に乗っている私も沈んでしまいます。だから危ないのです」。

お風呂の事情も日本とはまるで違いました。

「湯船にお湯をためて入るなんてできませんでした。だから電気がついている時間にお湯を沸かして、大きめのたらいに移し、素早く体を拭くしかなかったのです。もたもたしていたらあっという間に冷水になってしまいます。そんな冬なのに、発電技術が未発達で、一日に何度も電気が止まるのです。いつでもどんなときでもスイッチをひねると電気がつき、暖房を使い放題なんて、とてもぜいたくなことなんですよ」

夜、眠くても寒すぎて眠れないときは、家族で固まって寝たと、曽我さんは続けます。みんなそれぞれ靴下を何枚も履き、着られるだけのセーターや防寒具を身につけ、着膨れした状態で寝たそうです。