■3分の1が頭部 マッコウクジラの知られざる生態
大阪湾に迷い込んだクジラはおよそ8メートルですが、一般的にマッコウクジラの大きさは大人のオスが15~18メートル。大人のメスで11~13メートルと言われています。

マッコウクジラの生態を見ていきます。
マッコウクジラは潜水がとても得意です。普段は海面付近にいますが、餌を取るために深海に潜ります。一度に2時間以上、深さは3000メートル以上潜ることができます。

さらに、この大きな体の3分の1が、頭部です。頭の中には『脳油(のうゆ)』と呼ばれるものがあり、驚くべき機能が備わっています。

潜るとき…鼻から冷たい海水を入れ、“脳油”の部分を固めて重くする
海面付近に浮上していくとき…血管に温かい血液を流して、“脳油”の部分を溶かして軽くする
日本鯨類研究所 主任研究員 後藤睦夫氏:
融点が非常に低く、30℃より少し上ぐらいなので、溶けやすく固まりやすい性質を持っています。餌を取るための戦略の一つだと思います。
恵俊彰:
もう本当に不思議なことだらけ。なんでこんなに大きくならなきゃいけないんだろう。なんで3000mもかけて餌を取りに行かなきゃいけないんだろう。普通に考えたらすぐそこにあるものを食べたいじゃないですか。
■“必殺ワザ”で獲物を攻撃
強力で、遠くまで飛ばせる超音波で、エサとなるイカを麻痺させ、捕獲します。

日本鯨類研究所 主任研究員 後藤睦夫氏:
軽いクリック音を出して、餌がどこにいるのかを感知していますが、その音波をもっと絞って、もっと強力に発することにより、ダイオウイカなど餌となるイカを気絶させることができます。そうすることによって、気絶した餌をそのまま丸呑みするという捕食をするようです。
弁護士 八代英輝:
非常に優秀なソナーを持っていて、そのソナーの方向性を収束させることによって攻撃もできるってことですね。すごいですね。
■『抹香鯨(まっこうくじら)』排泄物は超貴重品
さらにマッコウクジラの排泄物はとても貴重なものです。
「龍涎香(りゅうぜんこう)」と呼ばれるマッコウクジラの腸内にできる結石があり、非常に香りが良いとされ、昔は金と同じ価値で取引されていました。

お焼香で使われる「抹香」と似た香りがするということで、マッコウクジラは漢字で書くと『抹香鯨』となっています。
日本鯨類研究所 主任研究員 後藤睦夫氏:
本を読むと「龍涎香」だけを狙う山師のようなアメリカの捕鯨者もいたようですけど、1000頭に1頭「龍涎香」が取れるかどうかというぐらいの割合だったそうです。














