大阪・淀川河口付近に迷い込んだマッコウクジラ。9日の発見から50時間以上経ち、体力の低下が心配されています。
なぜ迷い込んでしまったのでしょうか。さらに、マッコウクジラの驚くべき生態を専門家に聞きます。

■体長8メートル 大阪湾から迷い込んだか

1月9日午前、大阪市西淀川区の中島パーキングエリアにいた運転手から「黒いクジラのようなものがいる」と海上保安本部に通報がありました。

クジラは体長8mほどで、大阪湾から迷い込んだとみられ、大阪海上保安監部は上流に向かわないよう監視を行っています。

■なぜ迷い込んだのか?専門家はー

日本鯨類研究所 主任研究員 後藤睦夫氏は、3つの可能性を挙げています。

可能性(1)子どものクジラは好奇心が強いので、遊んでいて迷って入ってしまった

可能性(2)病気や寄生虫により方向感覚を失い迷い込んでしまった

可能性(3)餌を追いかけて迷い込んだ

日本鯨類研究所 主任研究員 後藤睦夫氏:
こういった迷入とか、生きたまま座礁するクジラの原因としては、この3つの他にもいろいろと考えられています。また複合的な要因もあるかもしれません。
おそらく8メートルであれば、子どもの可能性は非常に高い。元々マッコウクジラは社会性が強く、群れで行動することが多いんですけれども、群れからはぐれてしまって迷い込んでしまった可能性も考えられます。

恵俊彰:
今回大阪にいるのはオスと言われてますよね。

日本鯨類研究所 主任研究員 後藤睦夫氏:
マッコウクジラの場合は、外見からはオスかメスかは判断がつきづらいんです。上から見た状態では、オスかメスかは判断できないと思います。

恵俊彰:
病気や寄生虫により方向感覚を失って迷いこんでしまったとすると、心配ですね。

日本鯨類研究所 主任研究員 後藤睦夫氏:
もし腹側が傷ついていたり、病気であったり怪我をしていたりしても映像からではわかりませんので、要因は除ききれないんじゃないかと思います。

■発見から52時間 現在の様子

飯田麻菜美リポーター:
大阪淀川の河口付近にクジラが漂流してから52時間が経ちました。時折、数十秒単位で潮を吹く様子も見られるんですが、現在は体が海の中に入ってしまっている様子がうかがえます。
後ろには大阪の市街地が見えまして、高層ビルなども立ち並ぶエリアとなっています。かなり市街地から近い場所にクジラが漂流し続けているといった状況です。

このあたりはマリーナなどもあり、プレジャーボートであったり、ウナギ漁も盛んだということで船の運航もあります。今日は巡視艇がいないんですが、きちんと皆さん気をつけながら運航されている様子です。

恵俊彰:
現在のクジラの様子を見てどう感じますか。

日本鯨類研究所 主任研究員 後藤睦夫氏:
発見から2日経って、体自体が水面に沈みかけかけているところを見ると、やはり弱ってきているのかなという感じは受けます。
通常であれば、少なくとも背びれはしっかりと出ていますし、呼吸するために頭の先端にある鼻がしっかりと海面に出ますので、もっと水面に浮いている状態ですね。