「旧姓の通称使用拡大に関する法案」より優先された15年来の“悲願”
この法案が今動き出している背景には、高市総理個人の強い思い入れがある。
実は日本では、外国の国章(国旗を含む)を損壊した場合の罰則が刑法に存在する。外交上のトラブルを防ぐことを目的とした規定だ。ところが、自国である日本の国旗に対応する罰則規定はない。高市総理はこの「矛盾」を長年にわたり問題視してきた。

2011年、高市氏は自身のコラム(現在は削除)に「日本人として、日本の威信・尊厳を象徴する国旗に対する愛情や誇りを、せめて外国国旗が刑法で保護されているのと同程度には守りたい」と綴った。
翌2012年には高市氏も提出者の一人となり、自民党が国旗損壊罪を創設する刑法改正案を国会に提出。しかし、衆議院の解散により廃案となり、その後も保守系議員と再提出を模索したものの、提出には至らなかった。実に15年来の「悲願」だ。
状況が変わったのは、「高市氏自身が総理の座に就いたこと」と「連立相手が公明党から日本維新の会になったこと」だと島本記者は明かす。
2025年10月に交わした連立合意書には「外国国章損壊罪のみ存在する矛盾を是正する」ことが明記された。また、2026年1月の衆院選公示日の街頭演説でも、高市総理は「日本国旗を損壊しても全くお沙汰なし。変じゃないですか。日本の国旗はどう扱ってもいい。それはやっぱりおかしい」と有権者に訴えた。
その思いの強さは、法案審議のスケジュールにも表れている。
この法案が審議される内閣委員会では、同じく内閣委員会で議論されるはずだった「旧姓の通称使用拡大に関する法案」の今国会への提出が見送られる方向となった。旧姓通称使用の拡大も、自民党と日本維新の会の連立政権合意書に「26年通常国会に提出し成立を目指す」と明記されていたものだ。文書上は並列に扱われていたにもかかわらず、国旗損壊罪の審議を優先させる形になっている。














