首脳会談でアメリカ側が得たものは…
今回、大きな焦点と言われていたのは、「イラン」「貿易」「台湾」の3つのテーマだ。アメリカ側にとって成果といえるものがあったのか、順に見ていきたい。
まず、イラン情勢について。
アメリカ側は両首脳が「ホルムズ海峡は開放されたままであるべきとの認識」で一致したほか、「イランが核兵器を保有することは決してあってはならない」ことで合意したと発表した。
トランプ氏は習近平氏を前に「我々はイランについて非常に近い考えを持っている」とも発言している。ただ、中国側はイランをめぐって具体的な内容を発表していない。
アメリカ側が発表した内容を額面通りに受け取っても、中国側はイラン問題についての原則的な立場を示しただけとも言える。アメリカに対して何らかの協力を新たに約束したとは言えない内容だ。
次に、貿易について。
ホワイトハウスは成果文書を発表し、中国が3年間、毎年170億ドルのアメリカ産農産物を購入することで合意したと発表した。さらに、ボーイングの航空機を200機購入するとしている。
今回の中国訪問にはボーイングのほか、穀物メジャー・カーギルのCEOも同行していて、アメリカ側として中国への売り込みに力を入れていた分野での合意だ。今後、トランプ氏が11月の中間選挙に向けてアピールしやすい内容といえる。
ただ、この貿易合意の内容について、アメリカ国内では懐疑的な見方が出ている。第1次トランプ政権下の2020年に結ばれた米中の合意でも農産物の購入拡大が盛り込まれたが、中国側は新型コロナの流行などを理由に合意を全面履行しなかった。今回も同様に合意が履行されないのではないか、という懸念がくすぶる。
また、首脳会談の前にはボーイングの航空機は500機の購入が想定されているとも伝えられていた。アメリカ国内では「目標未達」との受け止めから、ボーイングの株価が下落する事態となった。このように貿易面でも「大きな成果」とは言えない結果になったと言える。
最後に、台湾問題。
中国側は習近平主席が「処理を誤れば衝突や対立に至り、中米関係は極めて危険な状況に陥る」と発言し、トランプ氏をけん制したことを明らかにした。
しかも、発言内容を会談の終了前に国営メディアを通じて発表。台湾問題は「核心的利益の核心」であることを内外に改めて強く示した。
一方、アメリカ側は発表文では台湾について触れなかったほか、トランプ氏も報道陣に対し「台湾政策では何も約束しなかった」と表明した。一部で懸念されたような、トランプ氏が「貿易問題と引き換えに台湾で譲歩する」といった事態は回避されたかに見えた。
ただ、トランプ氏は報道陣に対し「台湾への武器売却について話した」と表明。これは、台湾への武器売却については中国と事前協議しない、というこれまでのアメリカの姿勢を事実上、変更するもので、米国内の専門家からも「台湾情勢の不安定化につながる」と懸念が示されている。
このように、主要な3つの論点でアメリカにとって具体的に「成果」と言えそうなのは貿易分野くらいで、それすらも限定的な成果にとどまった。台湾問題では中国側のペースに引き込まれたとも言える。














