黙して批判は将来に委ねたい

田嶋隆純教誨師

<「世紀の遺書」序文>
戦犯死刑囚の多くと接しその最期を見送って来た私には、この人々のために戦争裁判について訴えたいことが鬱積しておりますが、この書の目的がこれらの人々の切々たる叫びを世に生かさんとする未来への悲願であることを思い、寧ろ黙して故人と共に一切の批判をも将来に委ねたいと思うのであります。


「世紀の遺書」は、戦犯たちが遺した文章をそのまま掲載し、記録として残している。その中身についての論評は一切ない。この方針については、編纂委員を務めた冬至堅太郎の日記の中に通ずるものがあった。冬至は「世紀の遺書」のほか、戦犯たちによる戦争裁判の記録「戦犯裁判の実相」(1952年巣鴨法務委員会編)の編纂委員にもなっているが、その目的について記していた。