「遊んでいる場合じゃないんだ」

「けやきの家」の介護保険統括管理者で、このデイサービスを始めた時から担当している内城一人さんに話を聞きました。デイサービスを始める5年前、当時56歳の男性の利用者がいたそうですが、認知症の症状が進行するにつれ、いらだちや不安、不可解な行動が増え、高齢者と一緒のデイサービスの活動中、逃げるように外に出ていくことが何度もあったということです。

内城さんはいつも後ろからそっと付き添っていましたが、ある日、この利用者が外に出てゆき、30分ほどして戻ってきた時、怒ったように「俺はこんなところで遊んでる場合じゃないんだ」とか、「働きに行かなきゃ」とか「家族や妻を守らなきゃ」と言ったそうです。

内城さんは「その時に、若年性認知症の方々は確かに、一般的なデイサービスでレクリエーション、ゲームをしたり歌を歌ったりして遊んでいる場合じゃ本当にないんだなっていうことを理解したというか、私自身もはっとして、けやきの家の中で何かできることはないかなと考えるようになりました」と話します。

働き盛りの世代で発症し、家族や社会の役に立ちたい、という気持ちが強い若年性認知症の方がいるということに気付いたということです。

若年性認知症のデイサービスの作業場

そこで、内城さんは「若年性認知症の人が主役となって、人や地域の役に立つ活動をする」ということで2016年、けやきの家で「子ども食堂」を開き、そのための料理を作るデイサービスが始まりました。

メインの料理にするウールロールパンを焼く前に