エネルギー危機に直面するアジア…日中関係改善のチャンスとなるか

中国経済に詳しい津上俊哉氏は、中国も日本同様「備蓄」に力を入れてきたと話す。

日本国際問題研究所 津上俊哉 客員研究員
「世界最大の備蓄量を誇るぐらいの備蓄量があるので、石油に関してはそんなに心配してないと思う」

アメリカのエネルギー情報局によると、2025年12月時点での中国の石油備蓄量は約14億バレルとされる。量だけで見ればアメリカの3倍、日本の5倍だ。

かつて、通産省で中国を担当していた津上氏。当時、定期的に行われていた中国当局との協議についてこう振り返る。

日本国際問題研究所 津上俊哉 客員研究員
「1990年代から日本は石油備蓄の優等生だった。『石油備蓄は大切ですよ』という語りかけは、ずいぶん中国にしていた」

――備蓄の大切さを日本から学んだということか

日本国際問題研究所 津上俊哉 客員研究員

「日本が言わなくても、やっていたとは思いますけど、日本の石油ショック以降の国家備蓄は、良いお手本ではあったと思う」

5月2日、ベトナムで高市総理はこう呼びかけた。

高市早苗 総理
「アジアの国々の多くは、ホルムズ海峡を通過する湾岸諸国の原油に大きく依存している」
「日本・ASEANを含む地域のサプライチェーンを共に強化しなければならない」

インドネシアでは、燃料の高騰で漁に出られない無数の漁船が川に留まっていた。普段は、日本や中国向けに輸出する魚を水揚げしているという。

インドのモディ首相は5月10日、ガソリンなど燃料を節約するため、在宅勤務をするよう国民に呼びかけた。

アジア各国がエネルギー危機に直面する今こそ日中関係改善のチャンスでは、と津上氏は指摘する。

日本国際問題研究所 津上俊哉 客員研究員
「1997~98年にアジア金融危機があって、(アジアで)外貨の供給とか、協力メカニズムを作ろうと、日本と中国は中核的な役割を担った」
「日本政府から中国にアジアの、『エネルギー危機何とかしないといけない』『日中の協議をしたい』と申し入れできる間柄だったらいいなという気はします」

「今の日中関係は、ほとんど絶交状態。特に政府間は。『日本が前向きな協力の話を言ってきた』ということが一つのシグナルになって、凍りついた日中関係を打開するための一つのきっかけにはなるかもしれない」