■独立峰ならではの強風・危険予知の重要性

閉山中の富士山は気象条件が厳しく、山小屋も営業していません。富士山の特徴のひとつが風の強さで、山脈の場合は隣接する山が壁となって風が弱まることがありますが、独立峰の富士山の場合は強風が吹きつけ、風を避ける場所もほとんどないといいます。

遭難した人の中には「富士山以外の山で多少の登山経験があった」と話す人もいますが、實川さんは「まったくあてにはならない」と警鐘を鳴らします。

<實川さん>
「山域によってぜんぜん条件が違いますから。北海道の山、東北の山、富士山、中国地方の山、ぜんぜん違います。よく遭難した方の登山歴が15年とか20年とかって出るじゃないですか。重要なのは、どういう山でどういう時期に登っていたか。夏山の経験なんてなんの役にも立たないです。K2だろうがエベレストだろうが、ベストシーズンで天気のいい日の登山経験なら何の関係もないんですよ」

安全のため、「常に危険を予知しながら登っている」と話す實川さん。登山開始の直前でも風が強く危険だと判断した場合は登山を中止し、登山中でも中断して引き返すことがあるといいます。

その判断ができず、知識と経験、そしてモラルが欠けている一部の登山者に閉山中の富士山の危険をいかにして伝えていくか。世界中から多くの人が集まる日本一の山には、大きな課題が残されたままとなっています。