
実はこの頃、日米貿易摩擦が激化…日本製品がアメリカ市場を席巻…現地では国内の産業が落ち込み不満が爆発…日本車の輸出が制限されるなど圧力が強まり日本は不平等な協定を受け入れざるを得なかったのです。日本の半導体産業が衰退した理由はこれだけではありません。
■日本の半導体 衰退の背景(2)

ジャパン・アズ・ナンバーワンと呼ばれた時代を知る藤井滋さん。富士通で半導体部門を率いていました。1990年代後半にパソコンが急激に普及した時、パソコンに特化した半導体開発で遅れをとったと言います。

元富士通半導体部門トップ SSC代表取締役 藤井滋
「(海外の)後から出てきた半導体会社はパソコンだけに集約した製造技術。できあがったものは安い。(日本は)パソコンに特化しなかった。日本は総合電機メーカーの一部で巨額投資はできなかったような記憶があります。そこが一つ負けた理由」
その後も、復活を目指した日本はメーカーの半導体部門を統合しエルピーダメモリを結成。国が出資しましたがおよそ10年で経営破綻。日本は世界での地位を落とし40ナノ台の技術に、とどまっているのです。
そんな日本が協力を仰いだのが3ナノの量産を開始した台湾・TSMC。TSMCの工場を熊本県に誘致し政府はおよそ4800億円もの支援を行うのですが…実はここで製造されるものは、20ナノ台最先端とは程遠いものです…さらに…

ラピダス 小池淳義社長
「我々に課せられた最後のチャンスだと考えている」
トヨタ自動車やNTTなどが出資し半導体の新会社ラピダスを立ち上げ2ナノの試作に成功したIBMと手を組み次世代半導体の国産化を目指すというのです。果たして日本は遅れをとり戻すことはできるのか。そして、再生への道は、どこにあるのでしょうか。
(「サンデーモーニング」2023年1月8日放送)