「特殊詐欺のニュースは、何度も見ていました」
そう振り返るのは、ニセ警察官詐欺の被害に遭いかけた新潟県三条市に住む70代女性だ。
どこにでもいる“普通のお母さん”にかかってきた1本の電話が、彼女を不安に陥れた。
電話の相手は、郵便局員を名乗っていた。
「中国から荷物が届いています。パスポートやキャッシュカードが入っています」
やがて電話は、大阪府警を名乗る男へとつながる。
「あなたの口座が犯罪に使われている」
「潔白を証明するために、資産を確認したい」
女性は相手の指示に従い、800万円を用意した。
それでも当時、自分が騙されているとは思わなかった。
「まさか自分が、という思いがどこかにあったんだと思います」
なぜ、人はニュースで見ていた手口を信じてしまうのか。
女性の証言から見えてきたのは、
「自分は大丈夫」という思い込みこそが、
最も危ういという現実だった。














