映像は、1977年(昭和52年)4月の新和町(現 天草市)の様子です。田んぼの中を手押し車のように押しているのは「ガンヅメ(雁爪)」。雑草を取ったり、土を撹拌したりするための農具です。全国的には昭和30年代以降はあまり使われなくなったと言われていますが、天草地方ではその後も利用されていたようです。当時のニュースはこう伝えています。

「早期米の田植えが終った天草地方では、今、ガンヅメ押しが盛んに行われています。このガンヅメ押しは雑草が土の中で腐って発生するメタンガスを発散させたり、矢車で水田の雑草を取り除いたりするもので、ここ天草郡新和町の水田でも盛んに行われています。

農家の人たちは、15センチほど育った苗を傷つけないようにゆっくり、丁寧にガンヅメを押しています。最近は、除草剤の普及でガンヅメも姿を消しつつありますが、天草地方では結構重宝がられています」

RKKは天草の初夏を伝える定番のニュースとして、その後も何度も「ガンヅメ押し」を取材しています。RKKに残っている最も新しい「ガンヅメ押し」の映像は1999年(平成11年)のもの。こちらは五和町(現 天草市)での撮影です。

「早期米の田植えがすっかり終わった天草地方の水田では、稲の発育を助けるガンヅメ押しの姿が見られます。このガンヅメは、田んぼの水をかき回し、土の中にたまっているガスを抜いて稲の発育を助け、また雑草を取り除く昔ながらの農機具です。

ここ、天草郡五和町の水田では、農家の人がゴムの長靴をはいて4月はじめに田植えを行った稲と稲との間をゆっくりとガンヅメを押していきます。このガンヅメ押し、最近では、除草剤を使うため余り見ることが出来ませんが、それでも田植えの後欠かせないとあって豊作を願いながらガンヅメを押しています。
天草地方では、水田の面積のおよそ8割がコシヒカリなどの早期作で早いところでは7月の終わりから刈り取りが始まる事になっています」

最後の取材から既に四半世紀がたちますが、近年では、品質の高い米を作るための農法として「ガンヅメ押し」を見直す研究もあるそうです。