■核なき世界を目指すこととアメリカの核の傘政策は矛盾しない

Q岸田総理は従前からライフワークとして核兵器廃絶を掲げていますが、一方で総理大臣として日本を守る立場から核の傘を含む抑止力の強化にも力を入れています。このギャップというものに、もどかしさを感じることはありますか?



岸田総理
「いえいえ。ギャップ、矛盾するのではないかとおっしゃる方もいますが、そうではない。いま、厳しい現実の中で日本国民の命、くらしをどう守るか、そして大きな目標として核兵器のない世界を目指すという目標を掲げている、これは決して矛盾するものではなくして、厳しい現実を未来に向けて大きな目標にたどり着くためにどのように結びつけてゆくか、どのようなロードマップを具体的に示していくのか、これが政治の果たしていかなければいけない大きな役割だと思っています。

大変厳しい安全保障環境の中にある日本の国民の命や暮らしを守る大変大きな責任をいま担っているわけですが、この厳しい現実から核兵器のない世界という大きな目標に向けてどのような道筋でつなげていくのか、多くの核兵器国をどう巻き込んでいくのか、これを示していく、これが私に課せられた課題だと思っているので、ぜひ努力を続けていきたいと思っています」

■理想の松明は手放してはならない

Qまさに「細く長く険しい道」ですか?

岸田総理
「そうですね。これは、いままで戦後、多くの先人たちが挑戦をしてきた道だと思います。レーガン大統領、ゴルバチョフ大統領、あるいはオバマ大統領はじめですね、世界のリーダーたちが何十年にわたって模索をしてきた厳しい道です。そして現実も今でもこれだけ厳しい。これから先どれだけ厳しい道があるかもしれませんが理想の松明(たいまつ)だけは絶対に手放してはならない、あきらめてはならない、これはみなさんと共有しながら努力を続けていきたいと思っています」

聞き手:RCC東京支社 大平洋 記者