丸山&田中の1区&6区候補も強力

新加入の丸山は1区か6区に登場しそうだ。1区なら中部予選のように後半独走する期待もあるが、10000mの27分台ランナーが3~5人出場する可能性もあり、中部予選と同じようには走れない。

「自分がレースを動かすよりも、誰かが動かす可能性が高いと思っています。そこでキツくなったときに、周りの人の思いやチームの人の思いを背負って、苦しいところでもついていけるようになっているのかな、という気はします」

優勝を狙うチームに初めて入り、支えてくれる人の思いを今まで以上に感じられるようになっている。
もう1つの候補の6区は、過去10大会連続で優勝チームから区間賞選手が生まれている。「先頭の近くでタスキを受けたらチームを(トップに)持ち上げていく走りをしたい」。

32歳の田中秀幸も1区と6区の候補。トヨタ自動車が15年、16年と2連勝したときの6区選手で、田中が7年ぶり6区区間賞で7年ぶり優勝に貢献できるかもしれない。2年連続出場している1区であれば、区間上位は確実だろう。
熊本剛監督は「田中は向かい風にも強いですし、キレがあるので5000mで日本選手権2位になったこともある。例年、中部予選後に脚に痛みが出るのですが、今年はそれがありません」と、好調ぶりを強調した。

東京五輪マラソン代表だった服部、中部予選5区で区間新の快走を見せた宮脇千博(31)、10月に10000mで27分57秒32と日本人最年長27分台をマークした大石港与(34)も5~7区候補だ。

8月下旬に右臀部を故障して12月のマラソン出場を取りやめた服部が、練習では完全に復活していることが明るい材料だ。10月中旬から練習を再開し、低酸素室でバイクを使って追い込んだ練習もできている。7区が有力で服部本人もラスト勝負に自信を見せていた。

区間の入れ替えはあるかもしれないが、今回紹介したメンバーなら全員が10000m27分台の自己記録を持つ。大石、宮脇、服部、田中はニューイヤー駅伝の区間賞を複数回取った実績を持つ。トヨタ自動車として最高最高レベルのメンバーだ。これで勝てなかったら相手を称えるしかない、というくらいに充実の陣容で7年ぶりの頂点を狙う。

(TEXT by 寺田辰朗 /フリーライター)
※写真は西山雄介選手