忘れられない“あの笑顔”
あれから2年の時が流れ、トヨタ自動車に進んだ栗林さんは再びドラフトで指名されるのを待った。私はこの時、社会人1年目のディレクターとして栗林さんの取材に行くことになった。
もう大学生の頃とは違い、お互い社会人。立場や関係性が変わっていたのにドラフト会議直前、先輩は私にジュースをご馳走してくれた。

その時は来た。静まり返った会見場に響き渡る声。
「第一巡選択希望選手、広島東洋カープ、栗林良吏」
場内は歓声に包まれた。その直後、栗林さんと目が合ったのを鮮明に覚えている。はにかんだ顔が今でも忘れられない。「たくさんの人が集まってくれたのに申し訳ない」と口にした日から2年、止まっていた針が動き始めたような感覚だった。















