それは、あの頃と変わらない、心待ちにしていた本を丁寧にめくっていくような瞬間だった。
「先発ピッチャーは栗林」

場内アナウンスがこだまする。一塁ライン際で背番号20が深々とお辞儀をする。スタジアムを真っ赤に彩ったファンが見守り、拍手を送る。
3月29日。広島東洋カープ・栗林良吏投手(29)が、まっさらなマウンドに上がった。
私にとっては懐かしい光景でもあった。というのも私は栗林投手の名城大学野球部の1つ後輩にあたり、先発のマウンドに立つ姿を何度も目にしてきたから。

ふだんは、CBCテレビで放送しているドラゴンズの応援番組「サンデードラゴンズ」のディレクターをしている。今回は少しだけわがままを言って、先輩の記事を書かせていただく。
なぜなら栗林さんは、そんなに野球もうまくないただの大学生だった私を気に掛けてくれる優しい心の持ち主だから。そしてそれは、今も変わっていなかったから。














