発光の様子。薄暗い環境で水槽の下から見上げて撮影

では、なぜキンメモドキは発光するのか。光るのは腹側だけ、というのも興味深い。

おなか側だけが光る理由

別所-上原学助教:
「海中では水面から光が差し込むため、キンメモドキ自身も発光しないと、自分の影が下の捕食者に見えてしまう。腹側を発光させることで光にまぎれ、敵から認識されにくくなるのです」

光を“盗む”能力は、生存のための巧みな戦略でもあるのだ。

医療への扉を開く可能性

この発見は、人間の医療を飛躍的に進歩させる可能性も秘める。がんや糖尿病の治療に用いられる抗体医薬・インスリンなどのバイオ医薬品は、口から飲むと消化酵素で分解されてしまうため、現在は注射や点滴での投与が必要だ。

もしキンメモドキがタンパク質を消化から守り、特定の器官へ輸送・保持する仕組みを解明できれば、バイオ医薬品を「飲む薬」に変えるという、未来のドラッグ・デリバリー・システムの創出につながる可能性がある。

沖縄美ら海水族館では2026年4月1日から、約70個体のキンメモドキの生体展示と発光映像の上映を始めた。“盗んだ光”で泳ぐキンメモドキを、あなたの目で確かめてみてはいかがだろうか。