ゲノム解読が“決着”をつけた
ただ、これまで一つの疑問が残っていた。「実はキンメモドキ自身も、DNAのどこかに発光遺伝子を隠し持っているのではないか?」という可能性を、完全には否定できていなかったのだ。
この謎に決着をつけたのが、2026年4月1日に科学誌『Scientific Reports』に掲載された研究成果だ。東北大学をはじめ、基礎生物学研究所・琉球大学・慶應義塾大学・沖縄美ら海水族館の共同研究チームは、最新の「ロングリードシーケンス技術(PacBio HiFi)」を用いてキンメモドキの全ゲノム(約6億2500万塩基対)を世界で初めて解読。
あらゆる解析手法を駆使して発光酵素の遺伝子を徹底的に探索した。
結果は明白だった。
キンメモドキのゲノムのどこにも、ルシフェラーゼの遺伝子は存在しなかった。 さらに「遺伝子の水平伝播」、すなわちウミホタルの遺伝子そのものをコピーして取り込んでいる証拠も一切見つからなかった。
キンメモドキは文字通り、遺伝子ではなくタンパク質そのものを“盗む”という、生物界で類を見ない戦略で生きていることがゲノムレベルで実証されたのだ。














