障害者の就労支援をめぐり、大阪の企業による前代未聞の不正受給が発覚しました。その額150億円。原資はもちろん税金です。関係者への取材から見えてきた巨額不正のスキームに迫ります。

障害者支援で150億円不正受給 元利用者「罪悪感みたいなものもあった」

神妙な面持ちで取材に応じた大阪市の横山市長。

大阪市 横山英幸 市長
「制度の信頼を揺るがしかねない大変重大な事態だと思う。大切な税金ですから、我々は厳しい処分をせざるを得ないですし、ここは厳しい態度を持って臨んでいきたいと思う」

強い非難の言葉を投げかけられたのが、大阪市にある福祉事業会社「絆ホールディングス」グループです。

市によると傘下の4つの「就労継続支援A型事業所」が、国などからの給付金約150億円を不正に受給していたのです。

A型事業所とは、障害のある人が支援を受けながら働くことができる場所。

時短勤務など自分のペースで働くことや「一般就労」に向けたスキルを習得することが目的で、事業所には利用者1人あたり平均月20万円ほどの給付金が支払われています。

この支援制度をめぐり何が行われていたのか?

取材班は「絆ホールディングス」傘下の事業所の元利用者や職員など50人以上に話を聞きました。

発達障害のある20代のAさん。

「動画編集」や「ものづくり」のスキルが身につくと謳う事業所のホームページを見て、2025年4月から通いはじめましたが…

元利用者Aさん
「在宅でパソコンのスキルを学ぶ動画をみて学習していくような感じもあった。あまり稼いでいる感覚がなかったので、罪悪感みたいなものもあった」

命じられたのは自己学習やデータ入力ばかりで、スキルアップに繋がる支援はなかったと話します。

別の元利用者は、交通安全ポスターの制作などを命じられたといいますが…

元利用者の女性  
「他の利用者さんとかも同じもの作って、それが採用になったのか、不採用になったのか。ただ作って終わりみたいな。会社が意図的に、時間つぶしのために作った架空の仕事なんじゃないかなって私はずっと疑問に思っている」

また障害者らを支援する立場の職員も…

グループの現役職員
「利用者さんが何年後か何か月後かに就職する。その能力をつけるためにこういう支援をしましょうということは、今まで一度も言われたことがない」

浮かび上がったのは「就労支援の実態が見えない」状況。しかし、元利用者らが抱いた違和感はこれだけではありません。