「本当に最初の3年がねえ・・・」

宮内庁幹部はため息交じりにそうつぶやくと、カレンダーを見ながら「令和ももう4年が終わってしまったんですね」と言った。

最初の3年というのは、言わずもがな、コロナ禍で思うようなスタートダッシュをきることのできなかったこの3年のことだ。4年目の2022年は、間違いなく令和皇室再始動の年となったが、「令和流」の象徴像をどう体現していくのかは、模索が続いている。

時代ごとに役割を変えながら続いてきた天皇制。

第二次世界大戦後に日本国憲法1条で「国民の象徴」と位置付けられると、昭和、平成と、それぞれの「象徴像」を追求してこられた。

即位したときから「象徴天皇」だった現在の上皇さまは、在位中、慰霊の旅を続け、自然災害が起きるたびに被災地を訪問して被災者を励まし、「国民に寄り添い、安寧と幸せを祈る」という象徴像を確立された。

「もう4年が終わってしまった」という言葉には、両陛下を支える宮内庁としての焦りが感じられる。

「令和流」とは何か。そのあり方を示す転換点となりそうな、令和4年の取材で印象的だったシーンから紐解きたい。