薄れる戦争のリアリティ

加藤氏は、2015年の安保法制成立以降の安全保障に関する世界の流れを「きな臭い」と表現する。世界で紛争が広がっている状況に加えて、日本の政治家も国民も意識しないうちに戦争に対して緩くなっているという。

高市総理が「存立危機事態」において自衛隊を派遣する可能性に言及したことを、米軍高官が「日本の非常に大きい政策転換」と受け止めているが、発言した本人も多くの国民もその重大さを認識していないからだ。

加藤氏は、高市総理の姿勢にトランプ氏との共通点を見出している。それは、外務省など実務者の説明をよく聞かず、自己アピールや強がりの発言をしてしまう点だという。

太平洋戦争の時も、日本軍、政府の誰も本気で中国やアメリカと戦争をするつもりがなかったにもかかわらず、「強がり発言」を重ねるうちに引っ込みがつかなくなり、戦争へと突き進んでしまったと言われている。

加藤氏は「今の国会議員で、戦争になったら自分にも責任がある、あるいは自分が戦争に行くと思っている人は誰もいないだろう」と苦言を呈した。

さらに、若者の感覚についても危惧を抱いている。電車内で若者がスマートフォンでリアルな米軍の戦闘訓練シミュレーションを夢中になって見ているのを目撃し、戦争があたかも「自分は死なないが、相手を倒すゲーム」のように捉えられていることに恐怖を覚えたと語った。