丁寧に推敲を重ねられた美智子さまの英訳

「降りつむ DVD付 皇后陛下美智子さまの英訳とご朗読」毎日新聞出版刊 毎日新聞出版 編 宮内庁侍従職 監修 

(美智子さまのご朗読)
「無限にふかい空からしずかにしずかに
非情のやさしさをもって雪が降りつむ
かなしみの国に雪が降りつむ」

代表作「降りつむ」には、戦争を経験した永瀬さんの祈りも感じられます。皇太子妃時代から詩の英訳や朗読の活動を続けられる美智子さま。

2019年に出版されたDVDブックには、美智子さまが自ら英訳され数篇の詩が収められています。永瀬さんの「降りつむ」はそのタイトルに選ばれています。

本には、美智子さまが詩の英訳にあたり、永瀬さんと手紙をやりとりしながら丁寧に推敲を重ねられたことが記されています。

「この度このところも直します方がよろしゅうございましたらどうぞ第一節 so quietly をお除き下さいませ」
※「降りつむ DVD付 皇后陛下美智子さまの英訳とご朗読」
毎日新聞出版刊 毎日新聞出版 編 宮内庁侍従職 監修 

(若松英輔さん)
「美智子様ご自身が、とっても詩的なね、やっぱり精神を宿してらっしゃる方だから、とっても深いところから訳されているのが印象的ですよね。

詩の翻訳ってのはやっぱり、言葉を記号的に置き換えるだけではやっぱり難しくて、言葉たりえないところまで引き受けて翻訳なさってるってのが上皇后様の素晴らしいとこだと思うんですけどね。

そういうことを促すぐらいの力が永瀬さんのあの詩には元々力があるってことでしょう。それが素晴らしいと思う」

「降りつむ」が英訳され、永瀬さんのこころは国境を越えて広がります。

(若松英輔さん)
「詩というのは手紙だってのは例えじゃなくて、受け取った人間がどの深さでそれを受け止めてくれるかによって、詩の運命ってのはまた変わってくるわけでしょう。

だから我々はその、詩がね、今どう働くのかってことももちろん我々は期待したいし、信じてもいたいんですけども、我々の目に見えないところでも詩は働き続けているかもしれなくて。

だから詩の頼りなさみたいなものを我々が感じがちな現代の中でですね、詩の力っていうものはやっぱり我々心のどこかで信じていいと思う」