■スーパースターが年賀状に囲まれて

お年玉つき年賀ハガキ発売の翌々年、元日早々年賀ハガキに埋もれているスーパースターがいました。「野球の神様」「赤バットの川上」こと読売巨人軍・故川上哲治さんです。

家族と年賀ハガキに囲まれる川上哲治さん(昭和29(1951)年)

読売ジャイアンツの常勝監督にして首位打者。
これは川上哲治さんがプライベートの姿を見せた非常に珍しいフィルムです。妻子に囲まれて正月を送る川上さんのもとに、次々と年賀状が届きます。川上さんが手に持っているのも紐で括られた年賀状の束です。その数ぜんぶで1万50通。
1枚1枚にさらさらと返事を書く姿も映っていますが、さすがの川上さんもギブアップだったことでしょう。 

■プリントゴッコが年賀状を変えた

その後、高度成長も終わり、石油ショックも乗り越え、日本が安定成長にかかる頃「日本の年賀状史」に残る一大発明品がリリースされます。それが理想科学工業の「プリントゴッコ」でした。

テレビCMでも盛んに流されました(1983年の映像)

年々増える年賀状の枚数を一気にかたづける家庭内印刷機、「プリントゴッコ」は、1977年に発売されると、爆発的なヒットを記録します。
ピカッと光るインスタント製版と、押すだけでできる簡単印刷がキモでした。
タモリさんや所ジョージさんなどが出演した「プリントゴッコでねんがじょー♪」のCMを憶えている方も多いのではないでしょうか。

■やがて年賀状は冬の時代に

しかし、インターネットの普及にともない、年始の挨拶は「メール」や「SNS」に急速に移行していきます。年賀ハガキの発行枚数も2003年をピークに年々減少し、今年はピークの半分以下の16億4000万枚まで減ってしまいました。
プリントゴッコも2012年に消耗品の発売を終え、完全撤退に。

さて、今年もあとわずか、年賀状はすでに書き終えましたか? それともこれから? またはネットで済ませるか…。

ちなみに「プリントゴッコ」発売元の理想科学は、現在も「オフィス用・世界最速のカラープリンター」をリリースするなど、デジタルプリンターの世界企業として意気軒昂です。