故郷思う町民の「帰らない」

原発事故により、双葉町民は避難を余儀なくされ、各地を転々とせざるを得ませんでした。

震災からおよそ3週間。最後の集団避難先となったのが埼玉県加須市でした。受け入れた町民の数は最大およそ1400人。役場機能も加須市に移され、町の新たな拠点となりました。

双葉町民の吉田俊秀(78)さんは、今も加須市で生活しています。

吉田俊秀さん
「だんだん高齢になってきて、足も大変なときに(双葉町の自宅)近くには大きい病院は本当にないですから、この(加須市の)便利性がある中で、よっぽどの事がない限り、双葉に戻ろうっていう気は今のところないですね」

13年前に中古住宅を購入。妻・岑子さん(81)も一緒にここで暮らしていくと決めていますが、2人の住民票はいまも双葉町にあるといいます。

吉田俊秀さん
「(Q.どうして移さないんですか?)やっぱり双葉にかかわっていたいのかな。忘れることができないわけですよね。今現在、加須市に居住していますが、心は双葉なのかな。気持ちは…」

63歳まで過ごし、そして追われた故郷。自宅はすでに取り壊されました。

吉田俊秀さん
「夢を見るんですけど、双葉にいるときの夢しか見ないんです。いろんな友達の付き合いだったり、事業をやっていた内容だったり、その頃の夢ばっかりなんですよ」

遠い町で故郷を思い続けた15年という月日。

吉田俊秀さん
「地域の人との繋がりもできたしね。散歩してても声かけ合って『お元気ですか?』とか、『今日は良い天気ですね』『どうして過ごしていますか』って話もして。このまま加須で過ごしていきたいと思います」