アメリカとイスラエルによるイラン攻撃について、早期収拾という希望的観測を疑問視する見方が広がってきました。原油はジリジリと高騰しており、エネルギー価格の上昇を通じたインフレ圧力増大が懸念されています。ホルムズ海峡の事実上の封鎖状態が続けば、インフレと景気後退の同時進行であるスタグフレーションが現実味を帯びてきます。世界経済の大きなリスク局面です。
ホルムズ海峡は事実上「封鎖」状態

トランプ大統領やアメリカ政府による、「イラン攻撃は順調だ」という公式発表とは裏腹に、イランによるドローンやミサイルによる反撃は中東地域全域に広がっています。米軍基地などアメリカ関連施設だけでなく、サウジアラビアの石油生産施設や、これまでイランとアラブ世界の橋渡し役を務めてきた、カタールの主力LNG施設まで攻撃される状況です。体制存亡の危機に瀕するイランは、「やれることはなんでもやる」ということのようです。
イランが「ホルムズ海峡封鎖」を宣言したのに対し、アメリカは「封鎖されていない」と主張、場合によっては米軍の艦船による護衛もあり得ると表明し、市場心理の鎮静化に努めています。しかし、丸腰の第三国の民間船舶が、ミサイルが飛んでくるかもしれない狭い海峡を航行できるはずもありません。実態として、海峡を通れない状態が続いています。
米軍としては、海峡封鎖に直結するイランの海軍力を失わせると共に、湾岸諸国にむけたミサイルやドローンの発射基地壊滅を、当面の目標にしているようです。しかし、地上軍を派遣しない、いわば空からの攻撃だけで、そうしたリスクを完全に除去することが本当に可能なのか、軍事に素人の私でも、疑ってしまいます。
要は、ホルムズ海峡を通過する民間船舶やアラブ諸国の原油・LNG施設に対する、イランからの攻撃の可能性が、限りなくゼロに近くならない限り、原油価格は安定しないということです。














