人は誤ったり挫折したりつまずいたりしてもいい
──永瀬さんは戦争を経験しました。戦時中は思うように詩がかけず、辛い時期だったようです。戦後、『降りつむ』という詩を書いていますが、平和への願いが込められているように感じます。
(若松英輔さん)
「詩人っていうのは詩を書くことによって自分の人生を作っていくわけですよね。
でき上がったものを歌っているような雰囲気が、もしかしたら世の中にあるかもしれないけども、そうではなくて詩を書くことによって自分の人生を作っていくんだと思うんですよ。
だから永瀬さんは、最晩年まで詩をお書きになり続けたわけだけども、彼女の人生を、このときはこうだった、あのときはこうだったということではなくて、そのときそのときに彼女が、真っ正面から向き合って、それと戦って。
人というのは、もちろん思うようにならないことがたくさんあるわけだから。
僕は、永瀬さんだけじゃないんですけどね。人の人生を、あとから採点するようなことは我々はないほうがいいと思う、まず。それと、そうすることをね、僕は、自分にもしないほうがいいと思うんですよ。
詩を書くことのとても大事なことは、人は誤ったり挫折したりつまずいたりしてもいいと。だけどそれが明日につながるんですよね。そして、我々はそこを作っていくことができる。
だから、我々は詩を書くことによって深く学ぶんじゃないでしょうか。我々はでき上がったものをなぞるように詩を書くんじゃなくて、詩を書くことによって自分の人生を作っていくって言ってもいいぐらい。
僕は、そういう思いがなければ詩を書くことはなかったですね、やっぱり。必然があったから詩を書いたって言ってもいいぐらいなんだけども、永瀬清子さんみたいな方はそれがあったから生涯書き続けたんでしょうね。
だから、詩というのは、自分の人生をあとから見て書くことではなくて、詩を書くことによってやっぱり今を作っていくんじゃないでしょうか」














