詩は、思いもよらないところに届く

──きょうの講座には、若い世代の参加もありました。時代を越えて永瀬さんの言葉が届いていますね。

(若松英輔さん)
「さっきもちょっとお話したんですけど、芸術というのは、生きているんですよね。剥製ではないんです。

我々は例えば、動物の剥製ってあるじゃないですか。それは動かないし、別に悪さもしないんだけども、生きたものっていうのは、思いもよらないところに届いたりするわけなんですよ。

詩の言葉っていうのは、永瀬清子さんの詩はこういう人が好きでね、こういう人が読んだら、大事にしてくれるんじゃないかみたいな、そんな想像をはるかに上回っていくんですよ。

永瀬さんの詩ってのはまさにそういう力を宿しているし、思わぬところに届く手紙なんじゃないでしょうかね、やっぱり。現代は狙ったところに言葉を投じがちですよね。

でもね、詩を書くことは、そういうこととはちょっと違うと思う。

自分でも誰に送っているか分からない、未知の他者への手紙でもあるんですよ。

もちろん詩は、自分自身への手紙ですけど、自分自身への手紙であるとともに、誰かとこちらが想定することのできない未知なる他者への手紙だから、だから真剣にやったほうがいい。

自分がこの人だったら分かってもらえるだろうっていうところで終わらないんですよね。だから、情熱を注いでいいんだと思いますけど」