今日という日を二度と生きることはできない

──永瀬さんの詩は、何十年も前に書かれたとは思えず、つい最近書かれたもののようにも感じられます。どうして、永瀬さんの言葉は、今でも生き生きとしているんでしょう。

(若松英輔さん)
「多くの人に開かれてることを普遍的って言うじゃないですか。その人がそのときに真剣に生きたことこそ、普遍的なんだと思うんですよ。

平均的ってことと普遍的って違いますよね。平均的ってのはよくあること。普遍的というのは、一個の人間が一回きりの人生を真剣に生きたことこそ、普遍につながってく。

だから、永瀬さんの詩ってのはなんとなく多くの人はこう思ってるよねっていうことを書いたわけではなくて、自分が本当に切実に感じてることを、そのときにしか書けないことをとき書いている。

ただ、それだけのことなんだけども、それがゆえにやっぱり世紀をまたいで、何十年って歳月を、またいでですね、人の心を揺らし続けるんじゃないかなと思うんですよ。

だから、永遠なるものというのは、固有なときに生まれるんだと思います。いつでも生まれるんじゃなくてね。

我々は、今日という日を二度と生きることはできないじゃないですか。すごく単純なことなんですけど、永瀬さんの詩に出会って、そんな当たり前のことを深く感じ直せていけたらいいんじゃないかなと思いますけどね」