塔和子と永瀬清子
(沢知恵さん)
「大島青松園で父が親しく交わりをゆるされた入所者の中に、詩人の塔和子(とうかずこ)さんがいらっしゃいます。
塔和子さんは私のことを『沢先生のお嬢さん』と呼んでくださいました。
病棟をおたずねすると、いつも詩の話、創作する喜びや苦しみについて、熱く語ってくださいました。
その塔和子さんは、永瀬清子が主宰した『黄薔薇』という同人誌のメンバーでした。
塔さんは永瀬清子に叱咤激励されて、実力をメキメキ伸ばしていき、しまいには、詩の世界で最も権威あると言われる高見順賞を受賞しました。
塔和子さんがこの『黄薔薇』で発表し、後に代表作になった『胸の泉に』という詩を朗読します。
かかわらなければ
この愛しさを知るすべはなかった
この親しさは湧かなかった
この大らかな依存の安らいは得られなかった
この甘い思いや
さびしい思いも知らなかった
人はかかわることからさまざまな思いを知る
子は親とかかわり
親は子とかかわることによって
恋も友情も
かかわることから始まって
かかわったが故に起こる
幸や不幸を
積み重ねて大きくなり
くり返すことで磨かれ
そして人は
人の間で思いを削り思いを膨らませ
生を綴る
ああ
何億の人がいようとも
かかわらなければ路傍の人
私の胸の泉に
枯れ葉いちまいも
落としてはくれない。
私はこの詩に、ブルース調の曲をつけてピアノ弾き語りしています。
興味のある方は、CD『かかわらなければ~塔和子をうたう』の中に入っていますので、よろしければお聴きください」














