20年ぶりに訪ねた大島青松園で「知恵ちゃんかい?」

(沢知恵さん)
「父亡き後、何年かして、私は約20年ぶりに大島青松園を訪ねました。『初めまして』のつもりで。

1996年、ちょうど『らい予防法』が廃止された年です。

大島の桟橋に降り立った瞬間、並んでいたおおぜいの人たちが私に駆け寄ってきました。

ハンセン病の後遺症で手や脚が曲がっている人、眉毛が抜けている人、白杖をついている人。

『知恵ちゃん、知恵ちゃんかい? 大きくなったね。よう来たね』

満面の笑みと大粒の涙で迎えてくださいました。

『あんたは床をハイハイしとったよ。昨日のことのように覚えとる』

私は驚きました。『私のことを覚えててくれたの?』って。

『知恵ちゃん』と、まるでずっとそう呼んできたかのように。

人が人を覚えてるって、なんて大きな愛なんだろう、と思いました。

私は圧倒されて、気がついたら皆さんと一緒に涙を流していました。

以来、四国、中国地方で仕事があると、必ず大島青松園に寄るようになり、ハンセン病回復者である入所者の皆さんとのかかわりを深めていきました。

そして2001年、国賠訴訟の判決が出て国との和解が成立した年から、大島青松園で毎年コンサートをしています。

私のハンセン病療養所でのコンサート映像は、ユーチューブの『沢知恵公式チャンネル』で公開されています。ぜひごらんください」

YouTube 沢知恵公式チャンネル