原油輸出拡大にむけ積み出し基地建設

今回の対米投資合意では、日本企業が事業主体ではなく、アメリカ、或いは第3国の企業が事業主体でも、日本側にメリットがあれば、対象になるところに大きな特徴があり、後の2つの案件が、それに当たります。

1つは、テキサス州での原油輸出ターミナルの建設(事業総額21億ドル、3300億円)で、事業主体はアメリカの石油関連企業。商船三井や日本製鉄、JFEスチール、三井海洋開発が、パイプラインをはじめとする関連機器の供給に関心を表明しています。

シェールオイル発見以前、石油輸入国だったアメリカには、元々、原油輸出のための施設がなく、石油輸出国になった今は、積み出し施設の整備が輸出増大の鍵を握っています。米国産原油の輸入の拡大につながり得る事業は、日本のエネルギー安全保障上も意義があります。

脱中国依存めざす人工ダイヤモンド

もう1つは、ジョージア州での人工ダイヤモンドの製造プロジェクト(事業規模6億ドル、900億円)で、こちらはグローバル企業デビアスの関連会社が事業主体です。ダイヤモンド工具メーカーである旭ダイヤモンド工業やノリタケが製品の購入に関心を示しています。

ダイヤモンドは、その硬さから、切断や研磨などの工作機械には欠かせないもので、電子、自動車、航空部品製造に不可欠です。また近年は、高温高圧でも作動する半導体材料としても大きな注目を集めています。しかし、今や中国が、人工ダイヤモンドの供給の9割を握っており、最近も輸出規制を示唆するなど経済的威圧の道具と化しています。中国はお得意の補助金政策で、コスト優位を実現し他国のシェアを奪ったのでした。

こうした重要産物の中国依存を減らすために、日米が共同でサプライチェーンづくりに取り組むことは、事業主体が日本企業でなくとも、十分、理にかなっています。