大阪府内の高校で女子生徒が男性教員から性被害を受け、女性生徒側が府教委に被害を告発していたにもかかわらず、府教委側が約5年にわたり対応を行っていなかったことが明らかになりました。

 性加害が認定されましたが、市立高校勤務時の行為だったことなどを受け、府教委は教員に対し懲戒処分を下さず「諭旨免職」としたということで、退職金も今後支払われる予定です。

 大阪府監査委員の監査結果によると、大阪府内の市立高校に通っていた元生徒(女性)は在学時、その高校に常勤講師として勤務していた男性から、胸や尻を触るなどのわいせつ行為を受けたほか、性的暴行も受けました。

 男性はその後、府教委に採用され、府立高校で教諭として勤務。府立高校への移籍後も、同じ元生徒へのわいせつ行為に及びました。

 元生徒の関係者は、2020年8月に、府教委が所管するセクハラアンケートの送付先に、それらの被害を告発する文書を送付。

 文書には「この手紙の存在は、男性に絶対に分からないように対処してください」「文書の送り主に危険が及ぶ可能性がある場合は見送っていただいてかまいません」と記されていました。

 その後、去年2025年、府の「24時間電話教育相談」に元生徒本人が改めて電話。この電話までの約5年間で、告発文書に府教委が対応した形跡は、現時点でないということです。

 府教委が聴き取り調査を行ったところ、男性は元生徒への行為をおおむね認めました。

 府教委は懲戒処分に相当するとしつつも、▽市立高校在籍時の行為は、男性が市教委に任用されていた立場のため、府教委は懲戒処分を下せない点▽府立高校在籍時の行為では、被害女性はすでに成人となっていた点を踏まえ、元教員を“諭旨免職”としました。

 また、府教委は男性の教員免許状を剥奪しました。

 諭旨免職は地方公務員法で規定されているわけではなく、依願退職扱いとなるため、男性には退職金が支払われる予定だということです。

 監査請求は、2020年に告発文書を送付した関係者が行い、内容は「男性に退職手当などが支給されるのは不当で、支出の差し止めなどを求める」というもので、請求自体は棄却されました。

 府監査委員は、「諭旨免職としたうえで、教員免許状を取り上げ教育現場から直ちに排除しており、府教委として一定の合理的な対応はなされているといえる」としつつも、「男性が元生徒との関係を隠して、府立高の教壇に立っていたことを考慮すれば、何らかの懲戒処分をすることを選択せずに、退職承認処分(諭旨免職)を行ったことは、裁量権の範囲を逸脱・乱用しているおそれがある」「教員の性的加害行為に対して厳しい対応が求められていることを念頭に置き、退職承認処分をしたことが府の信用を著しく損なうおそれがあることも考慮して、あらためて処分に至った判断過程を検証すべき」との意見を付けました。

 府教委は、“2020年に送付された告発文書への対応も含め、一連の判断過程を検証していきたい”としています。