日本の二酸化炭素排出量を項目別に示した2020年のデータです。排出量の約17%を自動車や船舶などによる運輸部門が占めています。排出量の削減につながる、より効率的な輸送を実現しようと、浜松市に本社を置く自動車メーカーのスズキが、製品を固定する新たな材料を開発しました。自動車のシートを運ぶためのもので、人にも地球にもやさしい固定材です。
<スズキ 物流グループ 石川昌平係長>
「新しい方(固定材)は、すべて段ボールでできていて、コストも安くなっています」
自動車のシートを輸送するときに、製品がコンテナの中で動かないようにするための固定材です。100%段ボールで、できています。自動車シートの輸送には従来、金属製の固定材が使われていました。新たな「段ボール固定材」に切り替えることで、人にも、地球にもやさしい効果が生まれたといいます。
<スズキ 物流グループ 石川昌平係長>
「(従来の固定材は)シートを固定する際に、こちらのシートレールへボルト留めします。前側2点を固定したあと、シートを前側にスライドさせて、後ろ側2点も固定する必要がありました。新しい方は、この段ボールの固定材の上に乗せて、結束バンドを前側2点止めたあと、後ろ側から段ボールの固定材を引き出して、これを三角に折り曲げて、これで終わりということになります」
Q.それだけで固定されてしまうんですか?
「はい、これだけでできます」
1つのシートを固定するのにかかる時間は約30秒。作業員の負担が軽減されました。さらに輸送効率のアップにもつながりました。
<スズキ 物流グループ 石川昌平係長>
「従来はシートをスライドさせる必要があったため、スペースが必要でした。その点、新しい方は、ただシートを置くだけになったので、その分のスペースは不要になりました」
1つの固定材に収容できるシートが、6脚から8脚に増え、1度に運べる量が劇的に増加。トラックや船舶などの輸送による環境負担が軽減しました。さらに、段ボール固定材は価格が安いため、年間3000万円のコストカットに成功しました。しかし、大きくて、重たい車のシートの固定材として、強度は大丈夫なのでしょうか。
<山口駿平記者>
「結構強めに(固定材を)叩いていますけど、それでも壊れないくらい丈夫な作りになっています」
垂直・水平方向に段ボールを組み合わせた「井桁」を参考にした複雑な構造で、シートの重さに耐えられる強度が実現しました。この段ボール固定材は2022年8月、包装や梱包の技術を競う「日本パッケージコンテスト」で最優秀の「経済産業大臣賞」を受賞しました。
<スズキ 物流グループ 石川昌平係長>
「いままで強度的に不利と思われていた段ボールで強度を出したことが、今回の評価につながったと考えています」
今後は車のシートだけでなく、他の部品の輸送でも鉄からの転換を目指しています。
注目の記事
【初密着】110番通報を受ける『大阪府警・通信指令室』 約2割は"迷惑通報"など緊急性なし「何千回も同じ内容でかけてくる」 それでも府民の命を救うため「どんな声にも耳を傾ける」

「謎の光る帯」上空で目撃 明け方に揺れるその正体は…専門家に聞いてみると 鹿児島・姶良市

今シーズン「ノロノロ台風&迷走台風」多発か さらに勢力は去年より増す可能性も 海水温の上昇だけでなく“偏西風”にも理由があった 備えるため「予報円」正しい理解を tbc気象台

富士山噴火 その時、大量の火山灰が降ると…「人の流れ、物の流れが滞ってくる」 専門家が指摘する準備と対策

「3行超えたら威圧感」「その絵文字は怖い」令和7年のSNS作法 あなたはついていける?「インスタは顔にモザイクがカワイイ(*´ー`*)」え??【原田曜平教授も解説】

ラオスで広がる日本人“児童買春ツアー”の闇 授業の合間に呼び出され…性的搾取される少女たち
