自転車をお持ちの家庭も多いと思いますが、盗難事件も後を絶たないようです。自転車の盗難について、四季法律事務所の森本明宏弁護士にお話を伺います。

【事例】
駐輪場に停めていた自転車を盗まれましたが、数日後、同じ駐輪場で発見しました。持ち帰っても大丈夫でしょうか?
森本弁護士
「結論から言いますと実は持ち帰ってはいけないんです。盗まれたものを自ら取り返すような行為のことを法律的には「自力救済」といいますが、この「自力救済」は原則禁止されているんです。この自力救済を認めてしまうと、例えば貸した金が返ってこないからといって強引に回収したり、場合によっては暴力的に権利が行使される恐れもあります。つまり社会秩序を維持することが難しくなる可能性があるため、自力救済は認められていないんです。またそもそも自力救済しようとするものが勘違いや間違いの可能性も否定できないからです。ですから盗まれた自転車を後日発見したとしても、勝手に持って帰ると、不法行為として民事上の責任を負う可能性もありますし、場合によっては窃盗の罪に問われる可能性もあります」

アナウンサー
「先ほどのお話ですと自力救済は“原則”認められないということですが、例外にはどのようなケースがあるんですか?」
森本弁護士
「緊急性があり、かつ権利行使の手段が必要な限度を超えない場合は、例外として認められ違法にならないと考えられています。今回のケースにあてはめると自分の目の前で他人が自転車を持ち去ろうとしている場合は、取り返すことができます。最近は電動のものも含めて高価な自転車も多いですから、自転車から離れる際にはしっかり鍵をかけておくことが大切ですね」