報道・バラエティ・音楽番組でも~広がる活用の可能性~

これまで「世界陸上」や「ドラマ」での活用事例を紹介してきましたが、今後はさらに幅広いジャンルへの展開を検討しています。

例えば、報道・情報番組やバラエティ番組における「イメージ映像(資料映像)」の制作です。これまでは、特定のシチュエーションを説明する数秒の映像のために、膨大なアーカイブから素材を検索して貸出の手続きを行ったり、多額のコストをかけてCGを制作したりすることが当たり前でした。このイメージ映像を生成AIで代替・補完する試みは、現在、重要な検討項目となっています。

その際にも、著作権の問題や、視聴者の誤解を招く表現になっていないかといったガバナンスを効かせることが不可欠であり、「攻めと守り」を両輪で回すことが重要です。

他にも、音楽番組での大型LEDに投影する素材の生成や、番組ロゴ・アイコンのバリエーション展開など、各ジャンルの「泥臭い課題」の解決に向けて、一歩ずつ検証を進めています。

AIと共に創る「新しいテレビ局」

テレビ局は今、大きな変革期にあります。しかし私は、最先端の技術と、長年培った「人の心を揺さぶる」クリエイティブ力を融合させることで、メディアはもっと面白くなれると確信しています。

私たちが目指すのは、「AIが人間に取って代わる未来」ではなく、「AIによって人間がより人間らしく輝く未来」です。

単純作業はテクノロジーに任せ、人間はもっと汗をかき、現場を走り回り、頭を悩ませて、視聴者の皆様の心を動かすコンテンツを作る。失敗を恐れず、まずは泥臭くやってみる。TBSの「変革」はまだ始まったばかりです。

〈執筆者略歴〉
宮崎 慶太(みやざき・けいた)
2007年TBS テレビ入社。ビデオエンジニアからキャリアを開始し、スポーツ、歌、ドラマバラエティ等のカメラマンを経験。
2017年報道カメラマンとしてロンドン支局赴任。帰国後は報道番組の技術責任者を担当し、2023年7月に新設されたDX推進部署である 「イノベーション推進部」部長に就任。社内プロジェクト「AI活用プロジェクト」リーダー。

【調査情報デジタル】
1958年創刊のTBSの情報誌「調査情報」を引き継いだデジタル版のWebマガジン(TBSメディア総研発行)。テレビ、メディア等に関する多彩な論考と情報を掲載。原則、毎週土曜日午前中に2本程度の記事を公開・配信している。