「証拠隠し」と「長期化」という二大問題
再審制度の見直しにおける最大の焦点は、検察側による「証拠開示」と「異議申し立て(抗告)」の是非です。
1つ目の問題は証拠開示です。検察が持つ証拠の中には、弁護側に有利なものがあっても提出されない「証拠隠し」に近いケースがあります。裁判所が命令してようやく出てくるような状況では、フェアな審理は望めません。
2つ目の問題は、検察官による抗告です。地裁が再審開始を決定しても、検察が不服を申し立てることで審理が数年、数十年単位で長引きます。袴田事件でも、2014年の開始決定から実際に再審が始まるまで、検察の抗告によって9年もの月日が費やされました。
検察側は「確定した有罪判断が1回の決定で覆るのは法的安定性を欠く」と主張し、抗告の権利を維持すべきとしています。しかし、再審の原点は「10人の真犯人を逃すとも、1人の無辜(むこ)を罰するなかれ」という精神にあります。
裁判に誤りがあれば速やかに正すのが司法の責務です。多様な意見がある中、私たちは「再審は何のためにあるのか」という原点を見失わずに、この議論に注目していかなければなりません。
◎山本修司

1962年大分県別府市出身。86年に毎日新聞入社。東京本社社会部長・西部本社編集局長を経て、19年にはオリンピック・パラリンピック室長に就任。22年から西部本社代表、24年から毎日新聞出版・代表取締役社長。














