交通事故の撲滅を訴える講演を行った大分市の中学生の兄弟に19日、警察庁から感謝状が贈られました。活動には家族への思いが込められていました。


警察庁から感謝状が贈られた大分市の中学3年生、竹山弦伸さん(15)と1年生の弟、佳克さん(12)です。2人は11月、熊本で開かれたシンポジウムで交通事故の撲滅を訴えました。兄弟が講演を引き受けた理由、それは…

(竹山弦伸さん)「弟のことを知ってもらって、交通事故に気を付けて下さいと言いました」

竹山沓里ちゃん、当時4歳。2016年3月、大分市野津原の自宅近くの農道を歩いて渡っていた沓里ちゃんは、乗用車にはねられ亡くなりました。

(竹山弦伸さん)「走ってきた白い車と共に弟は目の前からいなくなりました。本当に一瞬の出来事でした」

当時の体験を少しでも多くの人に知ってもらい交通事故をなくすため、2人は自分たちの言葉で語りました。

2人を後押ししたのは父・武志さんです。沓里ちゃんが亡くなった後、武志さんは市から委託を受け交通指導員として活動。子どもたちが安全に通学できるよう街頭に立ち見守っています。

(父・武志さん)「うちの子が4歳で亡くなったわけだからランドセルも背負えなくてそういった思いが強かった。とにかく未然に事故を防げたらという思いで交通指導をさせて頂いている」

沓里ちゃんは誰にでも挨拶をする元気いっぱいな子だったと武志さんは振り返ります。ニンニクやタマネギの皮むきが得意でよく家の手伝いをしたそうです。

(武志さん)「沓里が4歳で亡くなったということで、親として1番の苦しみではないのかなって、別れっていうのはやっぱりあんまり皆さんにはね体験して欲しくないような思いなんでね」

武志さんは、沓里ちゃんの写真集やチラシなどを制作。交通事故の撲滅を訴えています。そんな父の背中を見て弦伸さんと佳克さんは自分たち何ができるか考え、行動に移しました。

(武志さん)「思い出したくなかったっていうところもあったと思うんですけど、しっかりとね、役目を果たしてくれたっていうかね。よく頑張ったって褒めてあげたいなと思う」

(佳克さん)「お父さんやお兄ちゃんの手伝いをしながら、事故で人が死ぬことのない世の中にしていきたい」

「弟のためにも交通事故をなくしたい」兄弟の思い、家族の願いは少しずつ、着実に届いています。